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お気楽金融雇われ人の見聞録

マラッカ海峡の海賊退治にスマトラ沖地震災害復興支援を急げ

マラッカ海峡を航行中のタグボートが海賊に襲われて日本人の乗組員を含む3人が誘拐された。新聞もテレビのニュースも「海賊」なんて時代がかった表現を使うので、一瞬面食らったが、要するに海上誘拐団ということか。

3月15日の昼の時点では、身代金の要求など犯人グループから接触があったというニュースは入ってきていないが、今回の事件は政治目的の誘拐というよりは、身代金目的の誘拐ではないかと思う。要求される身代金の額にもよるのだろうが、政治的な背景が無いのであれば、身代金を払うことで人質の身の安全を買うというやり方もありだろう。まずは、犯人グループとの接触を急いでもらいたいところ。

今回の事件が解決したとして、次に考えなければならないのはこの海域の根本的な海賊退治。聞くところによるとマラッカ海峡付近では、毎年数十件の海賊被害が出ているとのこと。いくらマラッカ海峡が狭いとは言え、海上巡視艇の数を増やして監視を強化するだけでは対応しきれないのは明らかで燃料の無駄である。従って、巡視艇に頼らずとも海賊そのものが少なくなるような対策を考える必要がある。

対策を考えるポイントは、海賊といっても、いわゆるプロの誘拐団のような海賊はおそらく少数派で、大半の海賊は周辺国の人間が経済的に困窮し、手っ取り早くカネを手に入れる手段として身代金誘拐に手を染めているのだろうという点。もちろん、いくら経済的に困ったからといって犯罪を肯定する気はさらさら無いが、逆にいえば海賊たちが地元でそれなりの経済的安定を手に入れることができれば、おのずと海賊の出没は減っていくはず。そして今回海賊が表れたタイミングから考えるに、海賊の地元の経済的安定を脅かした原因は、スマトラ沖地震による津波被害と見て間違いないだろう。

そう考えると、海賊退治のためにはスマトラ沖地震の災害復興支援を急げということになる。海上巡視艇を派遣するよりカネはかかるかもしれないが、津波被害を受けた国々の復興のお手伝いができるし、海賊も退治できるし、一石二鳥の効果を期待できそう。