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国連事務次長がスーダンへの自衛隊派遣に期待感表明

来日中の国連のゲエノ事務次長は7日、日本経済新聞のインタビューでスーダンで予定されている国連平和維持活動(PKO)への自衛隊の参加に強い期待感を表明した。PKO局を担当するゲエノ氏は「国連安保理常任理事国になれば特別な努力への期待が出てくる。パワーを持つことは責任を伴うということだ」と強調。日本の常任理事国入りが実現した場合、さらなる積極的な貢献が求められるとの見方を示した。
PKO協力法の武器使用基準の見直しについては「普通の市民が民兵に攻撃されるような事態に、武器を持って市民を守るのは当然ではないか」と述べ、柔軟な運用が必要との考えを表明した。(NIKKEI NET 2005年3月8日)
当然予想された事態ではあるけれど、国連は常任理事会入りの踏絵としてスーダンPKOを使ってきた。

時事によれば、ゲーノ事務次長は細田官房長官との会談で、日本のスーダンPKOへの貢献策として、(1)自衛隊の工兵隊や医療支援隊の派遣、(2)装備が不十分な他国部隊の支援、(3)文民専門家の派遣の3項目を提示したとのこと。今日の時点では、細田官房長官はまだ検討を始めたばかりであるとして言質を取らせなかったようだが、まぁ治安維持活動もありの方向で派遣を検討するものと思われる。

個人的には、自衛隊PKO派遣することも自衛隊が治安維持活動に従事することも反対ではない。かといって、積極的に支持しているわけでもない。PKOというものが国際的な安全保障・治安維持の枠組みのひとつのパーツとして組み込まれている以上、避けては通れないのだろうなという程度で消極的に支持するスタンスである。

ただ、以前の投稿でも書いたとおり、常任理事国入りのメリットがあまり見えない以上、常任理事国入りと引き換えを前提に自衛隊PKO派遣するとか治安維持活動も行うというのは不純じゃないかと思う。不純だとは思うのだが、常任理事国入りを目標に掲げている以上、今になってそれとこれとは別であるなどと都合のいいことも言えないだろうから事態はそちらの方向へ進んでいくのだろう。

本来であれば、常任理事国入りとは切り離したところで、海外における治安維持活動の是非をきちんと議論してもらいたいところではあるが、この手の話は議論の入り口の段階で反対派の面々が「ダメなものはダメ!」的な姿勢をとりためか議論が成立したためしがないので、結局時間切れで推進派に押し切られ、既成事実の積み重ねで事態が進んでしまう。これって反対派サイドが推進派を結果的に後押ししているようにしか見えないのだが…。

そこで気になるのは、イラクへの自衛隊派遣に反対し続けた「政権準備政党」民主党が今回の事態にどう対応するつもりなのかという点。
民主党は、基本政策で、安保理常任理事国入りを目指すことを明記しているし、国連平和維持活動も憲法の枠内で積極的に参加するとしているし、国連からの正式な要請もありそうなので、理論上は派遣に賛成の立場をとることになるはずだが、どうなることやら。


[関連投稿]
日本の安保理常任理事国入りのメリット?(2004年12月13日)