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お気楽金融雇われ人の見聞録

アフリカのトーゴでは経済制裁により大統領が辞任

西アフリカ・トーゴの大統領、フォール・ニャシンベ氏(39)が25日辞任した。
このニャシンベ氏、大統領職に就いたのは今月5日のこと。前任の大統領で彼の父親でもあるエヤデマ大統領は38年間大統領職にあった事実上の独裁者。彼が死去したため軍部が憲法を勝手に改正してニャシンベ氏を大統領職に就けたのだが、これが権力の世襲であると国際的に非難を浴びることとなった。

Wikipedia「トーゴ」によれば、ニャシンベ氏の大統領就任の経緯は次の通り。
2005年2月5日、エヤデマ大統領が病気療養のためフランスに向かう途中、心臓発作で死去。トーゴ共和国憲法では大統領死去の際の代行職には国会議長が就くとされているが、ナンジャ陸軍参謀長は「国会議長は外遊中であり、権力の空白を防ぐため」として、エヤデマ大統領の息子フォール・ニャシンベ設備・鉱業・電気通信相が代行職に就いたと発表した。しかし実際は、トーゴ軍が陸海空全ての国境を閉鎖したため、国会のウタラ議長がトーゴ国内に戻れなくなっており、「権力世襲」「憲法違反」の措置であるとアフリカ連合や国際社会から非難されている。
国の最高権力者である父親の死後、軍部を掌握して父の権力を世襲したというと、北朝鮮の首領様と重なって見えるのは私だけだろうか?

ニャシンベ氏の辞任を伝える朝日新聞の記事(asahi.com)では、大統領職を一旦辞任するものの、大統領選挙には立候補するということらしいので、今回の辞任は単なる目くらましの可能性がかなり高いとは思う。ただ、ニャシンベ氏が表向き辞任という形をとらざるを得なくなった理由に、トーゴが属するアフリカ連合(AU)西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS: 加盟15カ国)経済制裁を決議したことがあるのは間違いない。

やはり経済制裁は多国間の枠組みの中で実施することで、期待する効果を実現することができるということだ。日本が北朝鮮経済制裁を実施するような場合も、多国間の枠組みの中で実施するという原則を踏み外すべきではない(改正油濁法は日本単独で実施する事実上の経済制裁のようにも見えるが、これだって保険の引受け先を限定するという形で多国間の枠組みを活用しているといえる)。

経済制裁だけでは問題を解決する決め手にはならないが、間違いなく効果はある。それは北朝鮮のメディアが一斉に日本の非難を始めたことからも明らかなのだから。


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対北朝鮮強硬策実施までに考えるべきこと(2004年12月9日)