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お気楽金融雇われ人の見聞録

家計の預貯金が国債にシフト?

日銀が公表している資金循環統計によれば、昨年9月末時点の家計部門の預貯金が初めて前年同月比でマイナスになったそうだ。ただ、マイナスになったといっても減少率は0.03%程度なので、750兆円を超える預貯金のうち2,000億円程度がシフトしただけであり、それほど大きなインパクトがあるわけではない。
昨年9月末の家計の預貯金、初の減少・国債にシフト(NIKKEI NET 2005年1月5日)

家計部門の預貯金減少の原因は、日経新聞によれば「長引く低金利を嫌う一方、預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとするペイオフ制度の全面解禁が4月に迫り、個人が資産の運用先を安全で比較的有利な国債にシフトさせているため」とのこと。何だかんだ言いながらも日本人は日本国の先行きにそれなりの信頼を置いてそうだということがわかって個人的には一安心。当分財政破綻することは無いだろう。

しかし、財政再建推進派の日経新聞としては、こんな淡々とした分析でお茶を濁していては不味いのではないか?

家計部門の余剰資金が国債に回っていては、公共事業も含めてある程度の財政支出を維持しない限り景気の足を引っ張る要因となってしまうはず。日経新聞が望むような財政再建を加速させるためには、景気の足を引っ張らず、国債に流れるカネを抑え、さらに歳入(税収)もそれなりに増やす必要があり、そのためには「国債を購入しないで消費に回せ」とか「国債を購入しないで株式を買え」というようなキャンペーンを張るのが日経新聞の仕事だと思うが、昨年末の社説を読んでも今ひとつ腰が引けているようだ。


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2005年度予算案財務省原案の内示(2004年12月21日)