聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

三井物産に家宅捜索

ディーゼルエンジン排気ガス浄化装置(DPF)の試験データを捏造して販売していた三井物産が、補助金詐欺の容疑で家宅捜索を受けた。
三井物産本社など、補助金詐取容疑で家宅捜索(NIKKEI NET 2004年12月27日)

当初激しく三井物産を追及していた東京都も、自らの職員が試験データ検証の際、魚釣りをしてサボっていたことがばれてしまい、あっという間に追求の勢いが萎んでしまった。

この後、三井物産は内部調査結果を受けて、社員2名と関連会社社員2名を懲戒免職処分としたが、組織的な関与は無く、現場の暴走という片付け方になっている。

三井物産の内部調査を頭から疑うつもりは毛頭ないが、排気ガス浄化装置に関するビジネスは、東京都はじめ首都圏の自治体が足並みそろえて推進する「新しい」ビジネス案件であり、案件の重みとしてはそれほど軽いものではなかったと想像する。その結果、開発現場には経営陣から結構なプレッシャーがかかっていたのではないか?

だからこそ、現場の社員にもデータを捏造してでもビジネスをとろうというインセンティブが働いたと考えられる。これが事実とすれば、コンプライアンスを重視しない企業風土に問題がある。逆に、現場が勝手にデータを捏造することが常態でチェック機能が働かない状態であったとすれば、それはそれで企業の内部統制という面では大問題である。

もちろん、社内のチェックはきちんと機能したが、データの捏造が巧妙に行われたため発見できなかったという可能性も当然あるわけで、今後の捜査の進展を待ちたいが、三井物産の組織的関与の有無の検証が東京都の自爆でうやむやになりかけていたので、個人的には今回の検察の動きはGood Jobと思う。


[関連投稿]
三井物産によるDPF試験データ捏造(2004年11月24日)