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お気楽金融雇われ人の見聞録

岩隈投手 楽天への移籍決定

オリックス入りを拒否していた前近鉄の岩隈投手が、金銭トレードで楽天ゴールデンイーグルスに移籍することが決まった。経緯はいろいろゴタゴタしたが、決まったからには楽天ゴールデンイーグルスの柱として活躍してほしい。

岩隈投手については、オリックスに行くことが決まった時に「ずっと近鉄でやってきて、愛着と誇りがある。それを(合併球団に)持っていけない。みんなで野球ができないのが辛い」と発言をしていたのを聞いて、気持ちはわかるけど子供のわがままみたいなことを言う選手だなぁという印象を持ったことがある。

そんなにオリックスに行くのがいやなら自分で移籍先を探せばいいのにと、一般のサラリーマンが転職するのと同じように思っていたが事情はもう少し複雑だった。初めて知ったが、プロ野球選手というのは自分の都合で移籍することができないんですね。

球団による「保留権」というそうだが、下に引用した「日本プロフェッショナル野球協約2004」によれば、 球団に保留選手として登録された選手は、所属球団が認めない限り他の球団との交渉ができないようになっているということのようだ。
(第66条「保留の手続き」抜粋)
球団は毎年11月30日以前に、所属連盟会長へその年度の支配下選手のうち次年度選手契約締結の権利を保留する選手(以下、契約保留選手という)、任意引退選手、制限選手、資格停止選手、失格選手を全保留選手とし、全保留選手名簿を提出するものとする。
(第68条「保留の効力」抜粋)
保留球団は、全保留選手名簿に記載される契約保留選手、任意引退選手、制限選手、資格停止選手、失格選手にたいし、保留権を持つ。全保留選手は、外国のいかなるプロフェッショナル野球組織の球団をも含め、他の球団と選手契約にかんする交渉を行ない、または他の球団のために試合あるいは合同練習等、全ての野球活動をすることは禁止される。
毎年オフシーズンに良く聞く「選手は球団を選べない」という発言は、ここに原因があったんだということがようやくわかった。確かにこれでは選手側が能動的に球団を移籍するということは難しそうだ。

ちなみに、川渕キャプテンが自画自賛するJリーグでも、プロ契約を結んだ選手の移籍に関しては選手側に能動的なオプションがあるわけではない(下は(財)日本サッカー協会「基本規程」)。
(第98条「アマチュア以外の選手がアマチュア以外の選手として移籍する場合」抜粋)
1. アマチュア以外の選手をアマチュア以外の選手として移籍させようとする場合、移籍先チームは、当該選手との交渉を開始する前に、移籍元チームの書面による承諾を得なければならない。
2. アマチュア以外の選手がアマチュア以外の選手として移籍しようとする場合、当該選手は、移籍先チームとの交渉を開始する前に、移籍元チームの書面による承諾を得なければならない。
プロ野球で言うところの保留権に類するものは、選手にしてみれば職場の選択の自由を奪うものに他ならないわけで、えらく前近代的な制度だと思う。ところが選手会は移籍の活性化を求めてはいるものの、保留権の撤廃そのものを求めている形跡はない。ここがどうも腑に落ちない。

一般サラリーマンの眼から見ると窮屈な制度だなぁと思うのだが、プロ野球にしろJリーグにしろ、これはこれで選手側にもメリットがある制度だということなんだろうか?