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高校生の学力低下?

OECDが発表した主要41カ国の15歳の生徒の学習到達度調査結果が発表された。日本は科学的応用力が2位(前回2位)、問題解決能力が4位(前回未実施)、数学的応用力が6位(前回1位)、読解力は14位(前回8位)という結果だった。

新聞の夕刊もテレビのニュースも大騒ぎしているし、文部科学省までが「わが国の学力は世界トップレベルとはいえない」などと言っているのでそんなに大変なことかと驚いた。

が、よくよく見るとそこまで深刻な状況ではなさそうだ。

最も問題視されているのは読解力だが、順位が14位に下がったことはともかく、平均点だけ見ると判断を誤りそうだ。
読解力で得点をレベル5からレベル1未満の6段階に分けると、日本はレベル5が9.7%、レベル4が23.2%とOECD平均を上回ったが、レベル1未満も7.4%で高かった。(2004年12月7日 日経新聞夕刊14面)
これは、仮に100点満点のテストを6段階に分けた場合、クラスの30%の生徒は概ね65点以上取れたが、7.4%の生徒は15点取れなかったということである。30人のクラスで考えれば15点取れなかった生徒は2人で、平均点が低いというのはこの2人の点が極端に悪かったと考えられる。

点数の悪化が一部に留まっているのであれば、それは調査を受けた生徒の選び方の誤差の問題で、全体的な学力低下とまでは言えないと思う。

また、点数の話はともかくとして、個人的には今回の調査そのものの意義に疑問を感じている。

今回の調査では、研究開発大国であるアメリカ、イギリス、ドイツがランキング上位に影も形も見えないが、そもそもこの調査はどんな力を測っているのだろうか?

そういったことを考え合わせると、今回の調査結果は報道されているほど悲観的に捉える必要はないと思う。


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