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ウクライナ大統領選挙に対する日本の対応

ウクライナ大統領選挙に関して、マスメディアは逐一与野党の攻防を伝えて来ているが、日本政府がどう考えているか伝わってこないなと思っていたら、ようやく12月3日になって町村外務大臣の談話(外務省)が出た。

内容は今回決定した選挙のやり直しを支持・追認するもので、目新しいものは無く、このタイミングでこの内容?というようなものだ。

日頃、反小泉の面々から「アメリカ追従」と揶揄・非難される小泉内閣にしては、これまで公然とアメリカ支持(野党ユシチェンコ候補支持)を表明することもせず、タイミングの遅い意思表示だと思うが、何か意図があったのだろうか?

おそらく対ロシア外交を考えてのものなのだろう。

徒に早い段階でアメリカ・EU寄りのスタンスを鮮明にしてしまうと、せっかくのロシアとの距離が開いてしまう。そうすると、ただでさえ解決が難しい北方領土問題が一気に冷え込むほか、日本にやって来そうなシベリア原油のパイプラインが中国に向いてしまうかもしれない。

日本としては、いずれも避けたいシナリオなので、敢えて沈黙を守り、大勢が決した段階でおもむろにスタンスを表明したのではないか?

談話が出た12月3日は、既にロシアも投票やり直しを認めており(内心はともかく)文句の出ようはずがない。これまでの良好な関係は維持できる上、あわよくば、国連常任理事国入りの審議で反対に回るであろう中国の説得に当たってくれるかもしれない。

いいタイミングの意思表示だと思う。


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