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お気楽金融雇われ人の見聞録

ダイエー産業再生機構活用へ

ここ2ヶ月ほどのすったもんだの末、ダイエー産業再生機構に自らの再生を委ねることになった。基本的に収まるところに収まったという印象。昨日も書いたとおり、ダイエーは「自主再建」のための道を選ぶための当事者たる資格(能力)を失っていたということ。ここ数日、ダイエーに好意的、同情的なコメントが中川経産相以外からほとんど出てこない状況がそれを端的に表していると思う。

今回のケースでは、銀行の貸し手責任はどうなるのか?
一般的に貸し手責任というと、債務者企業にリストラを迫る一方で、自らも債権放棄に応じるなど、それなりの「痛み」を甘受するという捉えられ方をされるが、本質的には債務者企業の財務状況を「きちんと」踏まえた上で、与信取引を行う(継続する)というコミットメントをすることだと思う。債務者の業績が悪化した場合の再建計画への関与や債務リストラは、このコミットメントの延長上にあるはずである。

そういう観点から今回のダイエーを見た場合、メイン銀行が2001年の段階で「きちんと」した資産査定に基づく再建計画の策定と銀行側の引当・償却処理を実施しなかった時点で、メイン銀行は真っ当な債権者としての貸し手責任を果たしていないと思う。今回、メイン銀行は法的整理も辞さない構えで産業再生機構の活用を迫ったとのことであるが、実際には彼らもそんな偉そうにモノを言える立場ではないのである。