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お気楽金融雇われ人の見聞録

UFJ銀行刑事告発

10月7日、UFJ銀行金融庁から刑事告発された。組織的な資料隠蔽や虚偽報告が行われたことから、既に実施されていた業務改善命令に加え、一部業務の業務停止命令(6ヶ月間)と刑事告発が行われるという大変厳しい処分が下された。つい先日も、シティバンクプライベートバンキング部門が、業務停止命令を受け、事実上、日本におけるプライベートバンキング業務から追放されるという処分が出たばかりであり、金融機関に対する金融庁の厳しい姿勢が目立つ。

金融庁としては、「事前にルールを明確に定め、金融検査を通じて金融機関のルール遵守状況をチェック、ルール違反を犯した金融機関に対しては、刑事告発も含めた厳しい態度で臨む」という方針を貫いたまでというところであろうが、本当にそうだろうか。今回のケースでは、ルール違反を犯した金融機関側に非があるのは当然としても、刑事告発や日本追放という厳しい処分を下す前の過程で、ルール違反の芽を摘むことも可能だったように思う。もっといえば、事前にルールを定めているといいながら、実際には後出しじゃんけんのように途中でルールが書き換えられていることがあるのではないか。

UFJ銀行のケースでは、取引先の悪い状態を記載した資料を別室に隠していたことがばれたというのが、行政処分への流れを決定付けた事件となっている。報道が事実とすれば、隠されていた資料は段ボール箱で何十箱にも及ぶ膨大な量だったようであるが、裏資料とはいえこれだけ大量の資料が作成されるのは、UFJ銀行から見て相当に大きく重要な取引先企業であり、UFJ銀行以外にも取引を行っている銀行はあったと思われる。当然、金融庁はそれらの銀行にも検査に入っているわけだから、それぞれの銀行がどのような査定を行っているか比較できる立場にある。だとすれば、金融庁UFJ銀行が意図的に甘い評価を行っていた(可能性がある)ことを本当に見抜けなかったのだろうか?