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お気楽金融雇われ人の見聞録

本屋の娘と息子「至福の読書」


7月8日発売の「文藝春秋8月号」で、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎さんと作家の林真理子さんが「本屋の娘と息子『至福の読書』」というタイトルで読書について対談しています。


お二人ともご実家が本屋で、小さい頃から本に囲まれて生活していた影響で読書家に育ったのだそうです。話題は、それぞれの読書遍歴から、町の本屋さんの苦境、最近の活字離れにまで広がっています。


失礼ながら、「本に埋もれて育った二人が究めた『読書術』」という割には、単なる読書自慢の域に留まっており、子育て中の親が子供を読書好きにするための秘訣みたいなものはあまりありません~もともと想定読者に入っていないのでしょう(^^~が、対談中の二人のコメントから独断で抽出するとすれば、こんなところでしょうか。



  1. 家中いたるところに本を置いておく

  2. 親自身が読書を楽しむ

  3. 小学校高学年くらいになったら、子供の読む本に干渉しない


ただ、対談を読んで納得できないのは、お二人が最近の活字離れを嘆く場面です。


「親が読書家であれば、子も読書家に育つ。くだらない親が増えると子供はさらにくだらない人間になる」というのが丹羽さんの持論で、活字離れが進む将来が心配だということですが、正直おいおいという感じです。


ターゲットは今子育て中の我々の世代なのでしょうが、仮に「世代」として活字離れが進んでいるとして、くだらない親が増えているとしたら、その親を育てた世代はどの世代なんでしょう?自分たちの世代に返ってくるんじゃありませんか?自分たちだけ安全地帯にいるかのような物言いって何なんでしょう。


世代論を展開するのは不毛以外の何者でもないので反論する気も起こりませんが、観察があまりに皮相的で、この安易な結論を出しているようではお二人の底が知れてしまいますね。もったいないと思います。