ネコのラジオ局
- 作者: 南部和也,とりごえまり
- 出版社/メーカー: 教育画劇
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: 単行本
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ネコって不思議な動物です。戌年生まれ、飼った動物も犬ばかりというイヌ派の私にとっては、何というかネコって身近な動物の割りに捕らえどころが無い動物というか、ゴーイングマイウェイな動物という印象があります。
物語の中のネコもゴーイングマイウェイなネコが多いような気がします。例えば、以前取り上げた「11ぴきのねこ」シリーズも決してお行儀のいいネコではなく、いやみなくオレ様ルールを貫くゴーイングマイウェイなネコたちだし、「100万回生きたねこ」に至っては、時空を超越したゴーイングマイウェイぶり。「名犬ラッシー」や「フランダースの犬」のように、物語の中のイヌが人間との絡みでその魅力を発揮するのとは対照的です。
さて、この「ネコのラジオ局」に出てくるネコたち、彼らはちょっと毛色が異なり、ゴーイングマイウェイというよりは、ネコ同士仲良く協力して働き、暮らしているというフレンドリーなネコたちです。
舞台となるネコの世界には、人間の世界と同じくラジオ局があります。このラジオ局でパーソナリティを務めるのはおしゃれなシロネコのサリー、プロデューサーはちょっと天然が入っているけどアイデアマンのツートン、機械を調整するエンジニアは理屈っぽいハルです。
ラジオの電波をどう飛ばすかというと、ヒゲを使うのです。ラジオ局の屋上にいるアンテナネコたちが手をつないでヒゲからラジオの電波を飛ばします。電波を受け取る側のネコもヒゲをアンテナにしてラジオを聴くことが出来るのです。
#しかし、晴れの日も雨の日も屋上で電波を飛ばさなければならないアンテナネコは相当な重労働でしょう。
ところがネコのヒゲは細くて短いので、アンテナネコたちが屋上で手をつないで電波を飛ばしても、電波はあまり遠くまで届かないようです。そこでツートンのアイデアで、太くて長いヒゲを探すことにしますが、うまく見つかるでしょうか?
ゴーイングマイウェイではない、ちょっととぼけたネコたちがかわいいお話です。ネコたちがいろいろなところで軽くボケているので、ツッコミを入れながら読むのが、このお話の正しい読み方だと思います。ネコ派はもちろん、イヌ派が読んでも充分楽しめるお話です。