聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

Nの近況 by 母

いつも父のブログを読んでいただきありがとうございます。
最近父は本業が忙しく、更新できておりません。
そこで母が久しぶりに書かせていただいています。

あっという間に夏休みが終わり、9月に入りました。約束通り母は口を出さず黙って見守ります。
父は、本業が忙しいこともありますが、胃が痛すぎて達観してしまったのか、Nに任せているところも多くなっています。
大丈夫だろうか・・・母も悶々としています。

夏休み入ってすぐに野球の創部はじまって以来といわれる少し遠出の一泊合宿がありました。
迷いましたが母も付き添いを頼まれたこともあり、これからの受験勉強と野球への気持ちをすっきりさせるため参加させることにしました。
全員参加し、Nは本当に楽しんでいました。
それから、夏休み、彼は野球を休むことが多くなりました。

学校がはじまり、いつもの仲間と顔を合わせるようになると最後の大会が気になり出しました。区内の大会としては6年最後の大会。
彼も参加したいとは思っていたようだけど、自分の状態を考えたのか行きたいとは言いませんでした。
ただ、初日の日、朝5時に自分で起き出し、仲良しのチームの子と2人、氏神様に参拝に行ったのです。
朝は絶対に自分で起きないNが早朝チームの勝利を祈願しに行ったことは母は非常に驚きでした。
と、同時に彼の気持ちが痛いほどわかりました。

そして氏神様の力か、チームはどんどん勝利し、とうとう準決勝まで進んでしまいました。
Nは家で、どうだったと母に他の母からの情報を聞きだすようにねだり、勝ち進んだことを知ると、とても喜んでいました。準決勝、決勝は次の日曜に行われると聞き、彼は、すこし心が揺らいだようです。 9月13日日曜、それは今月から始まる模試シーズンの初日なのです。 模試は大事とはわかっている、でもみんなと決勝に行きたい、閉会式に出てメダルや賞状をもらいたい。

学校で仲間が盛り上がる中、葛藤があったようです。
模試についてぐずぐずと言い出し、急いで帰ったら間に合うかもと言い出したり。
しかし、一度もその大会の試合に参加していないのに、ちゃっかり決勝や閉会式に出るだけなんてチームに申し訳ないのではと諭したりしました。
母も連れて行きたい学校の文化祭もあったのです。
金曜には、彼も心を決めたようですが、土曜の練習は参加していいかと言ってきました。
土曜は、半日もしくは2,3時間ほどの純粋な練習のみ。
彼の中でのこれが心の折り合いのつけかただったようです。
模試の前日の土曜ですので父は少し渋りましたが、私は行かせてやりたいと思い、父にお願いしました。
勉強をちゃんとするならという条件でOKにしました。

そして、Nは私に準決勝を見てきてくれと言い出しました。
私が応援に行く試合は、勝つ試合が多く、そのジンクスを信じているNは、自分が参加していなくてもどうしても行ってくれと懇願してきました。
私は、必ず行くと約束しました。

土曜朝、野球に行くならやることはやらないとと声をかけるとめずらしく素直に起きて来ました。
ちゃんとやっているのかはわからないけれど、机に向かい午後グラウンドへ向かって行きました。
母も次男の方の当番だったので、久しぶりに息子たちの姿を眺めていました。
監督に直接お会いしたので、明日の試合は欠席をすると伝えに行くと、監督は「最後の大会だから全員で集合写真を撮ろうと思う。閉会式に間に合えば写真だけでも参加しないか」とおっしゃいました。 Nには再三そう声をかけてくださっていたようですが、Nは参加できないと思うと言っていたようです。

今回たまたま近い会場で模試を受けることになっていました。
急いで行けば、閉会式には間にあいます。
「良いとこ取りになってしまうが」と監督に言うと、笑って「せっかくだからみんなで写真撮りたいね、もしかしたら決勝にいけなくてメダルないかもしれないけど」と返ってきました。
母は、心を決め、文化祭は別の機会に彼を見学に連れて行くことにして閉会式に参加させることを決めました。
夜、Nにがんばって閉会式、うまくいけば決勝に駆けつけようというとうれしそうにしていました。

日曜、次男坊Mも試合があり父はこちらに付き添い、またNも朝早いので、皆を送り出してから母は、球場に駆けつけました。
しかし、惜しくも準決勝は敗け。3位決定戦に回ることになりました。
Nを駅まで迎えに行くので、3位決定戦は見られません。
仕方なく駅でNを待ちながら、途中経過を応援している他の母に聞くとなんと、30分遅れではじまり勝っているというのです。
ぶっ飛ばせば試合内に間にあうかもと思い、乱暴な母の運転の車の中で着替えさせながら球場に着き、ドアを開けた瞬間チームベンチから歓声が聞こえてきました。

ちょうど3位決定戦試合は終わり、勝ったようです。
急いで駆けつけるとチームの子がグラウンドから出てくるところでした。
ああ、間にあわなかった、閉会式だけの良いとこ取りになっちゃったと母は一瞬思ったのですが、それは違っていました。

泥だらけの顔で彼らは、「もう、終わっちゃったよ~」「最後のボールは俺が取ったんだ」「勝ったよ、勝ったよ」口々に私や、Nに報告してくれたのです。
あっという間にNは彼らに合流していました。

直後の反省会の最後に監督はNに「閉会式を楽しめよ」と声をかけてくれたようです。
勝戦の試合をチームの皆と楽しそうに観戦しながら、また閉会式に集まってきた他のチームの子と話したりしていました。
閉会式、3位なのでメダルはなく、主将の数人のみ賞状や盾をもらいに前に行っただけでしたが、最後の3位までのグラウンド行進は、Nもちゃっかり後ろの方で行進していました。盾や、賞状を触らせてもらったり集合写真に収まりながら、帰りの車はチームの車に乗せてもらって帰ってきました。

事務局をしているチームの代表母に、9月に入り少し余裕がなくなってしまい練習や試合になかなか参加できないかもしれないと話したことがあります。
せっかくがんばってみんな練習しているのに雰囲気が悪くなってしまうかもしれないと母は心配していました。
しかし、彼女は「そうか・・・でもNが気分転換にでもこれるときに来たら良いんじゃない」と言ってくれました。ありがたかったです。

たまにしか参加しないNをチームの子も、監督やコーチも変わらずに接してくれます。
本当にありがたいと思います。
閉会式だけ参加のいいとこ取りに必勝祈願した氏神様も苦笑されているかもしれません。
でも、Nの気持ちが届いたのかもなあと思っています。

夜、少しだけでもやれよと父が声をかけると素直にちょっとだけ机に向かっていました。
他の子はもっともっとがんばっているでしょうし、こんな時期になってもまだ野球を続けているような子は、塾の先生や他の人からみたらあきれられてしまうかもしれません。

先日のNの誕生日に、父方の祖母からのカードに、「どんな時でも楽しんでやってください」とありました。
Nが慕っていた亡き父方の祖父がそうであったように、どんなときもその状況を楽しんで前進してほしいです。
これから、本格的に最終コーナーに入っていきますが、心をすっきりさせ少しずつで良いから、前進していって欲しいと願っています。
母も、また黙って見守っていこうと思います。