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お気楽金融雇われ人の見聞録

基礎を身に着けるには反復しかないでしょ?

3+2×4=20? 四則計算、小6の4割誤答
≪小中生、数学的思考が苦手 学力テストで明らかに≫
一貫した論旨の展開や数学的な思考が苦手な小中学生が多いことが14日、国立教育政策研究所が実施した学力テスト(特定の課題に関する調査)の結果で明らかになった。「3+2×4」(正答は11)という基本的な四則混合計算では小5の3分の1、小6の4割強が誤答し、深刻な計算力不足がうかがえる。国際調査で学力低下を示す結果が相次ぐなか、現在進められている「ゆとり教育」(現行の学習指導要領)の見直し作業にも影響を与えそうだ。(Sankei Web 2006年7月14日)

確かに5年生や6年生にもなって「3+2×4」の計算が、ケアレスミスでなく全く分からんというのはちょっとまずいんじゃないかとは思いますが、単純に計算の基礎練習不足が原因でしょ。「演算の順序を間違えないように操作(計算)する」なんて問題、基礎的な計算練習を反復する以外に近道があるんだろうか?

何でそう思うかといえば、学力テストの実施主体、国立教育政策研究所が公表した「特定の課題に関する調査(算数・数学)結果のポイント」が面白い結果を示しているからです。これを見ると「3+2×4」の正答率は、小4の73.6%から、小5が66.0%、小6が58.1%と学年が上がると下がっていき、中1で81.1%と急上昇しています。「中学校では、文字式を学習し、かけ算を先にするという理解が定着」という観測自体は間違っていないと思いますが、小学校の間、学年が上がるに連れ正答率が下がっていくのは、要するに基礎的な計算練習の反復が不足していることの表れでしょう。

そう考えれば、上げられている改善策「四則計算における乗除先行の理解が不十分→整数段階から演算を丁寧に扱い計算の意味を理解」はちょっとピンボケだと思います。「加算/減算より乗算/除算を先に計算する」というルールは「決め」の問題なのだから、「意味を理解」する前に考えなくても手が動くくらいまで反復練習する方がよほど有用だと思います。自分の「身体」(算数の場合は脳みそですが)を正しく、滑らかに使えるようにするためには反復練習が必要かつ有効だというのは、スポーツに限った話ではないはずです。演算の「意味」を理解するのはその後でも十分間に合うように思うんだけどなぁ。

ピンボケといえば、ゆとり教育をやり玉に上げるのも相当ピントがボケているような。最近のメディアには教育問題を取り上げるときは、背景も考えず「ゆとり教育イクナイ!」と書かなければいけないという決まりでもあるんだろうか?