聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

卒業式は踏絵の場じゃないでしょ

君が代不起立、来賓を調査 埼玉・戸田市教委
埼玉県戸田市教育委員会は、今春の市立小中学校の卒業式や入学式で、君が代斉唱の際に起立しなかった来賓がいたかどうかを調査することを決めた。22日の教育委員会で詳細を詰めた後、小学校12校、中学校6校の校長に照会する。
13日の市議会で「君が代斉唱の際に起立していない来賓がいる。市教委は把握しているのか」との質問に対し、伊藤良一教育長は「(起立しないのは)はらわたが煮えくりかえる」「儀式の秩序を乱すこと」などとしたうえで「事実なら把握しなければならない」と答弁した。(asahi.com 2006年6月20日

何、この踏絵。

伝えているのが朝日新聞という点を割り引いても明らかに行き過ぎ。そもそも市議会で「君が代斉唱の際に起立していない来賓がいる。市教委は把握しているのか」などという質問が出る時点でどうかしていると思うし、それに応えて「はらわたが煮えくり返る」などと品の無い発言をする人物が教育長というのも驚きです。どうしてこう極端から極端に走るかね。

教え子の卒業式まで押しかけて、国旗掲揚や国歌斉唱の取り止めを訴えかけるのもどうかしていますが、国歌斉唱で起立しない来賓をいちいち調査するのも同じくらいどうかしています。いや、事実上の強制が伴う分こちらの方が悪質かな。確かに「教育」というのはそれ自体何らかの押し付けがましい部分を内包するものではありますが、こういう形での価値観の押し付けは御免蒙りたいところ。こういう人たちは「内心の自由」とか「価値観の多様化」ということについてどう考えてんでしょうね。まぁ何も考えていないから、こういう発想ができるのでしょうが…。

どちらも共通しているのは、卒業式や入学式の本来の主役である子供達の存在を綺麗さっぱり忘れてしまっているところ。卒業式や入学式は政治的な主張をする場ではないと言うのに。そういう一番キモになる部分を落としておいて教育者面するのも「儀式の秩序」などを持ち出すのも片腹痛いですね。