聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

結局無罪でしたか

橋本元首相を起訴できなかった時点で負け戦でした。

村岡元長官に無罪判決 1億円ヤミ献金事件
判決は、検察側が立証の最大の柱とした「元長官に裏金化を指示された」という滝川俊行・同会元会計責任者=有罪確定=の証言について、「到底信用できない」と判断。1億円が実質的に橋本元首相に対する個人献金だった可能性があるなどと指摘したうえ、裏金化の実行者だった滝川元会計責任者が橋本元首相や元宿仁・自民党事務局長に累が及ぶのを避けるため、あえてこうした証言をした可能性があると強調した。(asahi.com 2006年3月30日)

朝日新聞は、社説で橋本元首相の証人喚問を要求していますが、実現したところで橋本元首相が「私がカネを受け取りました」などと言うはずもなく、「記憶に無い」で押し切られてしまうでしょうから要求するだけ無駄でしょうに。いつも思うことですが、検察の捜査能力よりも国会の証人尋問の方が「真実を明らかにする力がある」という認識はどこから出てくるのでしょうね。国会の証人尋問に大岡越前的なカタルシスを求めても不毛だと思うのですが…。

それはさておき、今回の件で明らかになったのは、物証を得られぬまま当事者の証言だけで検察が突っ張りとおすことがますます難しくなったという事実です。これは検察にとって見れば厳しい流れでしょうが、これまで何度も問題になってきた強引な拘束・取調べによる自白だけを証拠とした冤罪事件が、この流れの中で少なくなることを考えれば一般人にとっては望ましい流れです。

今回の判決は、黒いカネの流れを押さえきれず逃がしてしまったという側面よりも、むしろこちらの側面で意義がある判決と言えるように思います。