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お気楽金融雇われ人の見聞録

セブン&アイがミレニアムリテイリングを救済買収

業態を超えた再編というよりは、セブン&アイが出来た経緯と同様、ミレニアムリテイリング外資系に買収されないようセブン&アイに助けを求めたというのが実態でしょう。

セブン&アイHDとミレニアム、経営統合を正式決定
セブン&アイHDは、来年1月31日に野村プリンシパル保有する65・45%分のミレニアムリテイリング株式を1311億円で取得し、ミレニアムを傘下に収める。野村プリンシパルの株式売却益は811億円になる。
残り約35%分のミレニアム株は、クレジットカード大手のクレディセゾン伊藤忠商事オンワード樫山などが保有しているが、セブン&アイHDは来年3月末までの期間は現金による買い取りに応じ、それ以降はセブン&アイHD株との株式交換によって取得し、6月までにミレニアムを完全子会社化して経営統合する。ミレニアム株の取得総額は最大で2000億円前後に達する見通しだ。(YOMIURI ON-LINE 2005年12月26日)

ミレニアムリテイリングの株主、野村プリンシパルは小売業の経営に興味無いようなので外資系を含めて売却先を探していたのは間違いないところでしょう。100%子会社化に必要な資金が2000億円程度ということであれば、セブン&アイにとっては出せない金額でもないので、外資にさらわれるくらいならと買収を決めたというところではないでしょうか。ミレニアムリテイリングにしても、ウォルマートの資本が入った西友の迷走ぶりを見ていれば、どこであれ外資の傘下に入ることは避けたかったのが正直なところでしょうから、今回の話は渡りに船だったと思います。

もちろん、小売業としての足腰を強くするという目論見もあるとは思います。あるとは思いますが、統合によるシナジー効果には私は懐疑的です。例えば西武百貨店やそごうが必要とする「百貨店らしい」品揃えを充実させられるのか?とか、定価販売という旨みを自ら打ち捨てフランチャイジーの淘汰を始めたセブン・イレブンは今後も高成長を続けられるのか?とか、イトーヨーカ堂の冴えない衣料品部門をどうするのか?というような問題についての解決策をお互いが持ち合っているかというと疑問があるのがその理由です。

シナジーがありそうなのは金融業務くらいでしょうか?セブン&アイが単独進出することにした電子マネー業務(これも金融業務ですが)にもプラスの影響があるかもしれません。いずれにせよ、新生セブン&アイグループがどうシナジー効果を追求してくるかお手並み拝見です。