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お気楽金融雇われ人の見聞録

義務教育国庫負担金 - 第2ラウンド開始

三位一体改革のひとつ、義務教育の国庫負担金の地方への財源委譲について、文部科学省総務省のバトル、第2ラウンドが始まりました。

来年度予算の概算要求で、総務省三位一体改革の一環として、義務教育費国庫負担金のうち、8,500億円を地方への「税源移譲予定特例交付金」に計上しましたが、文部科学省側は従来どおり国庫負担を維持することで概算要求を提出しました。

文部科学省としては、「法律上、国が給与の半額を負担するということは変わっておらず、政府・与党合意よりも法律を優先させるべきだ」ということのようですが、大した物言いだと思います。

立法化されていない以上、先回りして行動する必要は無いということでしょうが、官僚としては正しい行動様式なんでしょうかね?なんとなく選挙期間中のドサクサに紛れて、従来どおりの要求を出しておけという臭いがします。

昨年、「義務教育費国庫負担金」というエントリーを書きましたが、未だに国が給与の半額を負担することの必然性が分かりません。「教育は国の根幹をなすものであり、義務教育の水準は地域に依らず一定の水準を保つ必要がある」という主張は理解できますし、その通りでしょう。

ただ、義務教育として子供たちに教えるべき内容、すなわち学習指導要領を国が整備することと、教員の給与を国が半分出すことの関連が一向に見えません。国庫負担金維持の論調を見ていると、「教育は国の根幹⇒国庫負担が必須」というのが所与の条件となっており、両者が結びつく必然性について、あまり納得できる説明を見たことがありません。

教員給与の財源を地方に移譲することに何か不都合があるのでしょうか?

実際、関東のメジャーな例だけでも、東京都葛飾区の区立中学校が夏休みを一週間早く切り上げて二学期を開始したことや、埼玉県志木市の市立小学校で25人学級を導入したりと、各自治体や学校独自の取り組みの範囲は広がっているわけですから、地方自治体の裁量枠を増やすことの方が教育の質を上げ、幅を広げるという観点からは合理的だと思うのですが…。