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お気楽金融雇われ人の見聞録

偽造・盗難キャッシュカード被害の保護法が成立

偽造・盗難カード被害補償法案が成立、来年2月施行
偽造・盗難キャッシュカードによる預金の不正引き出し被害を金融機関が補償する預金者保護法が3日、参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。預金者に過失がなければ金融機関側が被害を全額補償し、過失がある場合もその立証責任を金融機関側が負う。来年2月に施行する。 (NIKKEI NET 2005年8月3日)
偽造・盗難カード被害の補償法案が、郵政民営化法案が紛糾している裏でするっと可決されました。

預金者としては、キャッシュカードに暗証番号を記入していたとか、暗証番号を他人に知らせていたというような重い過失が無い限り、キャッシュカードの偽造や盗難によって預金を引き出されても、被害金額が補償されることになります。実際には、暗証番号を書いたメモとカードを一緒に保管していて一緒に盗まれるような、預金者に軽い過失がある場合には補償額が減額されるケースも想定されてはいるようです。

ただ、預金者に過失があるかどうか立証する責任は金融機関側に課せられているので、金融機関側が立証する煩雑さを嫌って、重過失であることが明らかなケース以外は全額補償されることに落ち着くような気がします。今後発生する被害の状況にもよるのでしょうが、金融機関側が偽造・盗難カード被害に関する保険をかけておけば対応できるでしょうし、この保険を引き受ける損保会社もきっとあるでしょう。

その代わりといっては何ですが、今後は暗証番号式のキャッシュカードは生体認証式のキャッシュカードに一気に取って代わられるのでしょう。みずほ銀行などは、すでにキャッシュカードを全量ICチップ式カードに切り替える方針を打ち出していますし、東京三菱銀行も、手のひら認証のカードのTVCMを盛んに流していますから、すでにその流れはできつつあるといって良いでしょう。

そもそもホームセキュリティやネットワークセキュリティなど、日常生活におけるセキュリティをどう確保するかが大きなテーマとなっている中、キャッシュカードとたった数字4桁の暗証番号だけで本人確認というのは、あまりにお粗末に過ぎるわけですから、セキュリティ強化の流れは預金者にとってもいいことだと思います。

ただ生体認証のカードが一般的になってくると、カードの持ち主が病気で動けなかったりした場合に、家族が代わりに預金を引き出したりすることが難しくなります。預金者としては、セキュリティ強化の反面として、ある程度の利便性低下はやむを得ないというところですね。