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お気楽金融雇われ人の見聞録

東大生の2割がニート予備軍?

なんだかえらく粗雑な分析がさらされています。
東大卒の2割がニートに!? 東京大学学生部の調べによると、平成15年度の同大学学部卒業者3416人のうち、就職した人はわずか27.9パーセントにすぎなかった。就職希望者のうち99.9パーセントは就職できたが、大学院進学者や公務員試験・司法試験などの浪人を除いても、669人は就職も進学も受験勉強もしていないという結果が出ている。これは卒業生全体の2割弱にも上る数字だ。東大の卒業生の2割はどこに消えてしまったのだろうか。ただし、これらのうち大学側に就職の報告しなかった学生も含まれ、統計上は「その他」という分類になるそうだ。(ライブドアPJニュース 2005年6月21日)
どこから突っ込んでいいのか困ってしまいますが、「卒業者の2割がニート予備軍」と言ったそばから、その2割に「大学側に就職の報告しなかった学生も含まれ」って、いきなり前提が崩れてしまってます。たったこれだけの情報でどこをどう解釈すると東大生の2割がニート予備軍などという結論が導き出せるのかさっぱりわかりません。

たいていの大学は、卒業者数に占める進学者数、就職者数をweb上でも公表しています。それぞれの大学で数字の定義は微妙に違うのでしょうが、たとえば京都大学は3,035人の卒業者に対して進学者1,692人と就職者904人を除いた「その他」の人数は439人。PJニュースの理論ではニート予備軍が14.5%いることになります。同じように慶応大学は21.4%、早稲田大学に至っては26.3%のニート予備軍を生み出していると結論されてしまいます。

そりゃ「その他」の中にまったくニート予備軍がいないとは言いませんが、常識的に考えれば「その他」のほとんどは就職報告してない学生だと考えるのが普通で、それをニート予備軍だと結論付けるには「その他」の中身を明らかにする必要があるでしょう。

PJニュースってあまりいい評判を聞きませんが、こんな煽ったタイトルをつけておいて中身がこれでは、それもむべなるかな。完全に釣られてしまいました。