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お気楽金融雇われ人の見聞録

JR西日本福知山線の事故に思う

4月25日に発生したJR西日本福知山線の事故、私自身、毎日通勤で電車を利用しているし、電車好きな息子を二人抱える身としては、今回の事故は他人事とは思えない。お亡くなりになった方のご冥福と怪我をされた方の一日も早い回復をお祈りします。

事故から1日たったところで、事故を起こした列車が事故直前に停車した伊丹駅で実は40メートル近くオーバーランをしていたらしいことが明らかになった。オーバーランの修正による遅れを回復させようとスピードを出しすぎたのが、事故の直接の原因になったのではないかという見方が出ているようだ。事故を起こした運転士が過去にもオーバーランをして社内処分を受けたという報道もあったりするのを見ると、今回の事故を運転士個人の過失で片付けてしまいたい誰かがいるような気持ち悪さを感じる。

運転士の運転に全く問題がなかったかと言えば、そうは言えないと思う。が、現場付近に設置してあるATSが旧式のものだったという話を聞いたり、京阪神間の旅客輸送をめぐるJR西日本と私鉄各社の激しい競争やJR西日本が数年前に起こした事故後の処置中の保線員を特急列車がはねた事故のことを考えたりすると、本当の原因はJR西日本の企業としてのあり方につながっているように思う。具体的に言えば、JR西日本では私鉄との競争に勝つための投資(例えば新型車両の投入など)が優先され、安全対策への投資を二の次として、その分ヒト(運転士や車掌、駅員)に依存していたのではないかという妄想が拭い切れないということ。

事故の原因はしっかり調べて再発防止に努めてもらいたいが、私の妄想が事実だったとすれば、再発防止策が現場職員に対するルールの徹底みたいなもので終ってしまっては根本的な解決にはならない。本質的には過度にヒトに依存しない安全管理を実現するべきで、新型のATSやATCなどの列車運行に関するシステム的な安全対策の強化が必要だろう。個々の会社がそれぞれで取組むと資金的に苦しいのであれば、国がカネを出して一斉に整備させるのもありだろう。そういう税金の使い方なら、どこからも文句は出ないと思うのだが。


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