聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

経済摩擦が発生したっていいんじゃないの?

日本と海外各国との間に経済摩擦が広がり始めている。牛肉輸入で対日圧力を強める米国だけでなく、竹島問題で揺れる韓国、靖国神社参拝問題を抱える中国や領土問題で駆け引きが続くロシアとも貿易やエネルギー開発を巡る緊張が高まってきた。しばらく影をひそめていた経済摩擦が相次ぎ表面化したことで、グローバル化を軸に成長持続を目指す日本の戦略に危うさもにじんでいる。(2005年3月28日 日経新聞朝刊3面)
米露中韓といった周辺各国との対立が起きたことで、経済摩擦が表面化してきたという内容であるが、なんだかなぁという感じ。

記事では韓国との間ではFTA交渉が停滞していること、海苔輸入制限の解除を求めて韓国が日本をWTOに提訴したという話が出ているが、どちらも何か問題があるんだろうか?韓国が日本のマーケットに自国製品を売り込みたいといっているだけなのでは?自動車産業なんか見ていると、FTAなんか締結したら、かえって韓国内の産業の方が壊滅しかねないと思うんだが。

アメリカとの間の牛肉輸入問題だって、日本のマーケットを当てにした圧力であることは明白なわけだが、仮に輸入を解禁したところで牛肉消費がいきなり禁輸以前の水準に戻るとも思えない。それにアメリカとカナダの間の牛肉輸入問題を棚上げにしたまま、日本だけ解禁しろというのは無理筋だろう。

そしてそもそもの問題として、経済摩擦が表面化すると何か問題があるんだろうか?

今の貿易って、国際的分業だとか比較優位だとかという話ではなく、それぞれの国が自国製品を売り込みあっているというのが実情で、その売りあいの結果、「今のところ」日本が優位に立っているので各国政府としては、何とか巻き返しを図りたいと。そういうことでしょう(未来永劫日本が優位に立てるといっているわけじゃありません、念のため)。

日本としては、貿易関係ではそれなりに優位にたっているわけだから、わざわざ相手の土俵に乗らなくても良いんじゃないのと思う。それに最終的に輸入製品を使うかどうか決めるのは日本の消費者なんだから、供給者側の論理だけで政治的な話をしても、カルフールがたった4年で撤退を余儀なくされたがごとく、思惑通りにコトは進まないんじゃないの?売れないのは日本のマーケットが閉鎖的であるからではなく、提供される商品が価格に見合った価値を提供できていないと思われているからだろう。

そう考えると、いち消費者である私としては、別に経済摩擦が発生したっていいじゃないとしか思えないのだが…。