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イスラエルとパレスチナの停戦合意

昨年11月に長年、パレスチナを率いてきたアラファト氏が死去したことで中東和平は大きく展開し始めた。アラファト後継となったアッバス議長は当初、指導力、統率力に疑問を持たれたが、イスラエルが拒絶していたアラファト氏と違い、イスラエルとの対話を積極的に進めた。パレスチナ内部でもねばり強い説得で、自爆テロイスラエルへの攻撃を抑制しつつある。イスラエルパレスチナが治安問題に関する合同委員会を設けることで合意したのは大きな成果といえる。(NIKKEI NET 2005年2月9日)
イスラエルパレスチナ間の停戦合意が成立した。アラファト議長が亡くなりアッバス議長に代わってからの展開の速さを考えれば、結局アラファト議長が和平への障害だというイスラエルの主張が裏付けられたといえるだろう。してみると、アラファト議長が亡くなった後、まことしやかに暗殺説が流されたのは単なる陰謀論としては片付けられないのかもしれない。

後ろ盾を失ったハマスは今のところ今回の停戦合意に拘束されないと言明しているが、武力闘争を無理に継続すれば一般のパレスチナ人の支持が離れていくことは自明だから、余り目立った動きはとりにくくなるだろう。停戦合意が継続している間にハマスがテロ行為を働けば、それはイスラエルに抵抗してというのではなく、単にパレスチナの治安を悪化させることがハマスの目的であるということになる 。

同じ構図はイラクにも当てはめられる。イラクに主権が返還され、選挙が実施されたにもかかわらず、未だにイスラム過激派がテロ行為を繰り返しているのは治安を悪化させること自体が彼らの利益になるからであることを如実に示している。現在のテロが主な標的を米軍の駐留地ではなくイラク軍基地や警察としていることをみてもそれを裏付けることができる。アメリカ軍の駐留に抵抗してテロが発生しているなどという日本における一部の報道はあきらかな誤りであった。

イスラエルパレスチナに話を戻せば、とりあえずはロードマップに沿った和平交渉の再開を目指すことになるのだろう。それにしても、パレスチナ問題に関して日本の関与は皆無に等しいのはなぜなんでしょうね?アメリカとフランスなどは早々に手打ちをして、嘴を突っ込む気満々だというのに。