聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

平成23年 論文式試験(公法系第1問[憲法])の構成

今回の司法試験の振返りシリーズ。最初は憲法試験問題)から。

論文を書くペースをつかめず、パニックになりながら書いていたことを覚えている。
構成は欲張りすぎた感あり。もう少し的を絞って書いた方がいいのかもしれない。

ただ、行政からの中止命令を取り消そうとする会社の代理人なので、裁判で取り上げることができそうな事情は全部取り上げてやろうと思って、事案の評価を繰り返した「つもり」。 [設問1]
1.取消訴訟(行訴法3条2項)
(1)「法」6条が憲法22条に違反
憲法22条は職業選択の自由を保障→職業選択の自由=経済活動の自由を保障
→経済活動の自由を実質化するための営業の自由も22条の保障対象
→本件届出制は、特定地図検察サービスの提供に対する心理的プレッシャーとして制約的に機能
→届出制は22条違反で無効

(2)「法」7条が憲法21条に違反
①カメラの設置位置を160cm以下に制限
→写真の撮影方法を制限することは撮影される写真の構図等に対する制約(=内容規制)
②画像の修正
→修正対象となる「個人権利利益侵害情報」(「法」2条6号):「個人の権利利益を侵害するおそれのあるもの」=定義が不明確

(3)中止命令は厳しすぎる処分

[設問2]
(1)「法」6条について
反論:単に届出を求めているだけでサービス提供を制限していない
私見
営業の自由は「公共の福祉」による制約を受ける
→資本主義社会における経済活動への制約は、重要な目的実現のための必要最小限の制約であるべき
Z機能で映り込む画像で犯罪誘発の危険性あり
→犯罪抑止の目的は重要
届出制はサービス提供自体を制約しない
→せいぜい犯罪が起こったときのトレーサビリティを向上させる程度
→制約は合憲

(2)「法」7条について
①カメラの設置位置規制
反論:Z機能画像の内容に対する制限でなく、Z機能画像の撮影方法に対する規制
私見
カメラの位置が高い=視野が拡大→プライバシー侵害に該当する画像が映り込む可能性増大
カメラの高さ1m60cm=一般的な大人の目の高さ→プライバシー侵害の度合いが低い
→制約は合憲

②画像の修正
反論:定義は明確
私見
表現の自由も「公共の福祉」による制約を受ける
→サービス提供に用いる画像も表現の自由を享受する
→画像に修正を加えさせる=内容に対する規制
→定義が明確かどうかは一般人基準で判断
→定義は明確
→制約は合憲

(3)中止命令について
反論:手続通りにしただけ
私見
「生活がうかがえる写真」は「個人権利利益侵害情報」の文言から直接に導き出せない
→プライバシー=みだりに容貌等を撮影されない自由=みだりに私生活等を撮影されない自由
→生活ぶりがうかがえる写真=私生活の様子を撮影した写真
→「生活ぶりがうかがえる写真」は「個人権利利益侵害情報」に含まれる
↓しかし
中止命令は処分として重すぎる
→処分は比例原則違反で違憲無効