聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

リバースモーゲージで生活保護費を貸すそうな

結構副作用が大きそうな政策。

65歳以上の生活保護者に自宅担保で融資・厚労省検討
厚生労働省は、持ち家に住む65歳以上の生活保護対象者を対象に、自宅を担保にして生活資金を貸し付ける新制度を来年度にも導入する。同制度の利用を生活保護の給付に優先させる方針で、土地・建物の評価額が500万円以上の世帯に適用する方向で検討している。社会保障費の伸びを抑えると同時に、支給要件を巡る国民の不公平感を取り除く狙いがある。
新制度は「リバースモーゲージ」と呼ばれる手法を活用、借り手が死亡した後、担保の土地・建物を売却するなどして一括返済する仕組みのため生前には返済負担がない。具体的には、住居用不動産の評価額の70%程度を上限に、生活保護費(6万―7万円程度)に医療費を上乗せした額と同水準を毎月貸し付ける。金利は大企業向け融資の指標となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)並みに抑える。 (NIKKEI NET 2006年9月4日)

リバースモーゲージというと、資金を年金の形で貸し付けて、土地・建物の所有者(資金の借主)が亡くなったら、担保の土地・建物は頂くよ、というスキームですよね。自分で土地・建物を売り払ってキャッシュを用意するか、リバースモーゲージのスキームで死後、土地・建物を手放すかというところが違うくらいか。まぁ、自分で土地・建物を売り払ってキャッシュを用意すると、どこかに住処を賃借しなければならないから、家賃の分だけリバースモーゲージが有利ということは言えるかな。wikipediaによれば、既に導入している自治体もあるようですね。

日本においては、1981年東京都武蔵野市で導入されたのを皮切りに、主に都市部の自治体が、直接(公社を通じて融資する)あるいは間接(金融機関を紹介する)の形で事業を行っている事例がある。また、厚生労働省が、2002年12月より、都道府県社会福祉協議会を実施主体として「長期生活支援資金貸付制度」を実施している。民間においても、信託銀行などの金融機関で商品化されている。(wikipediaリバースモーゲッジ」)

ただ、リバースモーゲージ自体は悪くないスキームだと思うのだけれど、生活保護制度と絡ませるとどうも非人道的な薫りが漂うのは気のせいだろうか。ちょっと前に葬式代を取り分けていたら生活保護受給資格が認められなかったという話がありましたが、リバースモーゲージの話もこの話と同じように、「無一文にならなければ生活保護は受けさせないぞ」という話に思えてしまうなぁ。