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お気楽金融雇われ人の見聞録

紙媒体の方が外部漏洩は容易だと思う

売った先がどこであれ、顧客情報を持ち出して売り渡すなどという事は許されることではありません。今回の事件は、暴力団フロント企業と共謀して顧客情報を持ち出した疑いが濃いようですが、事実とすれば開いた口がふさがりません。

顧客情報を暴力団側に漏洩、容疑でみずほ銀元課長を逮捕
みずほ銀行の顧客情報を暴力団関連会社に漏出していた疑いが強まったとして、警視庁は8日、同行の元支店お客さまサービス2課長で現本店調査役の高橋芳一容疑者(51)=さいたま市緑区三室=を業務上横領容疑で逮捕した。
組織犯罪対策特捜隊の調べでは、高橋容疑者は新宿西口支店のお客さまサービス2課長だった05年2~3月、同行のホストコンピューターに保存されている638社分の取引情報などを支店の端末機を使って印字し、新宿区内の暴力団関連会社の事務所に持ち込み、横領した疑い。(朝日新聞 2006年2月8日)

今朝の日経の春秋では、「今回は情報を印刷した紙が見つかり、横領や窃盗という容疑が浮上した。電子媒体で流していたら発覚しなかったかもしれないという」と指摘していますが、最近は外部記憶媒体のキャンセルやインターネットメールのフィルタリングによって、電子媒体による情報漏えい防止はある程度抑制できるようになっていると思います(みずほ銀行が導入しているかどうかは分かりませんが)。今回のケースは紙媒体だったからこそ外部への漏洩が可能だった事件です。情報漏えいの手段は、電子媒体経由の時期がしばらくありましたが、原始的ともいえる紙経由に戻ってきていることは意識しておく必要があると思います。

今回は顧客情報を端末から印字して持ち出しているようですが、仮に顧客情報の印字ができないようにしたとしても、メモ帳なんかに手書きで顧客情報を書き写してしまえば、漏洩を100%防ぐ手立ては無いんですよね。当然、こういう内部者による不正が起きないよう各種ルールを設けて予防するわけですが、どうしても個人のモラル頼みになる部分が残ってしまうので、ルールだけで不正を根絶するのが不可能であるところが悩ましいところです。最終的には上司が、普段のカネの使い方とか交友関係なんかを手がかりに不正の「芽」を早く見つけるという予防方法しかないのかなと思います。