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お気楽金融雇われ人の見聞録

公立小中学校の学校選択制は不要

わけ分からん。義務教育費国庫負担制度の地方委譲は地域の格差を生むから良くなくて、学校選択制によって学校ごとに格差(美しく言えば特色)が出るのは良いわけですか。

学校選択制」を拡充、部活動も理由に
小坂文部科学相と中馬行政改革相は19日午前、都内で会談し、保護者や子どもが就学する小・中学校を選ぶ「学校選択制」を拡充するため、部活動なども理由として認めることを学校教育法施行規則に明文化することで合意した。
(略)
こうした実情について、推進会議が「学校選択制の自由が規制されている」と指摘していることを受け、中馬行革相が小坂文科相に「幅広く学校選択ができるようにすべきだ」と要請した。また、両相は、2005年度中に生徒や保護者による教員評価制度を新たに導入することでも一致した。(YOMIURI ON-LINE 2005年12月19日)

揚げ足取りはさておくとしても、この学校選択制を拡大入する意義や必要ってどこにあるのか疑問です。

いじめなどを理由に学校を変わりたいというのは分かります。でも、部活動を理由に学校を選べないから「学校選択制の自由が規制されている」っというのは何か悪い冗談かそうでなければ自由の意味を履き違えているとしか思えません。保護者や子供が就学する小・中学校を選ぶというと聞こえは良いですが、公立の小・中学校で何を根拠に学校を選ぶのでしょう?

私が住んでいる川崎市では学校選択制が予定されていないので、あまり実感を持った想像が働かないのですが、ぱっと思いつくのは、学区の設定の「アヤ」の解消(学区は違うが「近い」学校を選ぶ)くらいですかね。あとはいわゆる「伝統校」とか「名門校」のブランド(があるとして)で選ぶとかになってしまうように思います。

文部科学省規制緩和推進会議は、生徒や保護者が各学校の教育方針や教員の質を手がかりに学校を選ぶことを期待しているようですが、そもそも新年度の教員の異動が3月末にならないと決まらない自治体が殆どである現状で、学校の教育方針や教員の顔ぶれを考えて学校を選べといわれても無理でしょう。伝統校や名門校に人気が集まってしまうのは、ある意味不可避でしょう。

そうやって人気投票的に行きたい学校を決めていくと、昨今問題になっている登下校時の児童・生徒の安全の確保も難しくなるでしょうし、文部科学省が目指している「地域ぐるみの教育」というお題目も有名無実化しますよね。なんてったって通ってくる児童・生徒はその地域に住んでいない場合もあるわけですから。

文部科学省には、公立の小・中学校で大々的に学校選択制を取り入れると、どんな良いことがあるのか示して戴きたいところです。