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北朝鮮が6カ国協議へ復帰意思表明

北朝鮮の六カ国協議への復帰が米朝間で合意されました。復帰の決め手はアメリカが「北朝鮮主権国家」「侵攻の意思がない」「協議の枠組みで2国間協議を開く」と表明したためのようで、米朝以外の4カ国は蚊帳の外に置かれているような気がしないでもありません。金正日体制の維持と食糧援助を是が非でも勝ち取りたい北朝鮮にしてみれば思う壺の展開でしょう。
米朝間折衝軸に展開へ・6カ国協議再開
ライス米国務長官が中国首脳部との会談を通じ、北朝鮮による核の完全放棄という最終目標を重視する米政府の基本姿勢を明確にしたことで、米国との直接対話による金正日体制の保証にこだわる北朝鮮との対立の構図があらためて浮き彫りになった。今月末の第四回6カ国協議は事実上、米朝間の折衝を軸に展開する見通しだ。(NIKKEI NET 2005年7月11日)
核問題と拉致問題のワンセットでの解決を目指す日本としては、昨年の拉致問題に関する日朝実務者会議以来久しぶりに北朝鮮との交渉チャネルが開かれるので、核問題に合わせて拉致問題についても解決への糸口を見つけたいところです。しかし、上のような構図を前提とすれば、6カ国協議の枠組みの中で拉致問題を取り上げると、北朝鮮に交渉テーブルを蹴飛ばす口実を与えることになりかねないので、拉致問題の取り扱いはかなり難しそうです。今日の参議院本会議での小泉首相の答弁もそれを窺わせます。
北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議の再開が決まったことについて、首相は「北朝鮮に対し、関係諸国と連携して核問題解決を求めていく」と強調。拉致問題については「政府として家族の思いを胸に解決に全力を挙げる」としながらも、「制裁は可能な1つの手段だが、まず制裁ありきではない」と述べ、改めて経済制裁の発動に慎重な考えを示した。 (時事 2005年7月11日)
そうは言っても、日本は韓国と異なり、拉致問題を放置したまま北朝鮮の非核化と引き換えに経済援助を行うオプションは取りえません。そう考えると、逆説的ですが今回の6カ国協議が決裂し、核問題の舞台が国連安保理などのさらに大きな多国間の枠組みへ移る方が、日本としては望ましいのかもしれません。