おはなしまくらのねんねおじさん
- 作者: 西内ミナミ,なかのひろたか
- 出版社/メーカー: フレーベル館
- 発売日: 1999/03
- メディア: 単行本
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おはなしまくらのねんねおじさんは、みどりがおかのミドリおばあさんが作ったまくらの人形です。ゆうちゃんが赤ちゃんだった時に、ミドリおばあさんの家からゆうちゃんの家にやってきました。
ねんねおじさんは、ミドリおばあさんの家にいる間に、おばあさんの色々なお話を聞き、いつしか自分もお話ができるようになりました。「おはなしまくらのねんねおじさん」には、そんなねんねおじさんがベッドに入ったゆうちゃんに話して聞かせたお話を6つ集めてあります。
中でも面白いのは、おばあさんが飼っている犬のお話です。この犬、犬のくせに「オオカミ」という名前を持つちょっと変わった犬なのです。そしてオオカミという名前が決まるまでに1年以上かかっているのです。おばあさんはどうして1年以上もかけて犬にオオカミなんていう名前をつけたんでしょう?
ほかにも、ミドリおばあちゃんとオオカミが雪だるまを作った時のお話や、ゆうちゃんが小さかった頃裸で外へ出かけてしまった時のお話など、ゆうちゃんはねんねおじさんのお話を聞きながら眠り、段々と大きくなっていきます。
そして、ゆうちゃんのまくらが赤ちゃんまくらから子供まくらへと大きくなったある日、
「ぼく もう おおきいんだもん。あかちゃんまくらじゃ なくても へいきだよ」
ゆうちゃんがそういうのを聞いたねんねおじさんは、ゆうちゃんの家での自分の役目が終わりつつあることを悟ります。そして、ねんねおじさんは同じようにゆうちゃんの家での役目が終わったオルゴールとがらがらおしゃぶりを連れて、ゆうちゃんの家を出て行くことにするのですが…。
この本を読んでやった時、普段は「お父さん、一緒に寝ようよ」と甘えてくる下の息子が、「今日は一人で寝るから、お父さん出てって」と珍しく一人で布団に入ったことが印象的な本です。子供は子供なりに自分がお兄ちゃんになったんだと自覚しているものですね。
父親としては、ねんねおじさんの味わった「役目は終わった」感をいつか味わうんだろうなと思うと、ねんねおじさんの姿と自分が重なって見えたりして、ちょっと切ないお話でもあります。