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お気楽金融雇われ人の見聞録

総合スーパーの苦戦とダイエーと「あの」銀行

今期の連結売上高は3%増の3兆6400億円と、従来予想を800億円上回る。子会社で展開するコンビニエンスストア事業が好調なためだが、本業の総合スーパーが主体の単独売上高は1%減の1兆4720億円と、従来予想から630億円下方修正した。総合スーパーは食料品は堅調に推移したものの、天候不順の影響などで衣料品や住居関連商品の販売が苦戦。単独営業利益は71%減の70億円と、従来予想(300億円)を大きく下回る。(NIKKEI NET2005年2月22日)
イトーヨーカ堂本体の収益低迷に、減損会計の適用、在庫評価損の計上が重なったことが原因らしい。西友も2004年12月期連結決算で3期連続赤字を記録しており、総合スーパーはどこも苦戦している。

両社とも衣料品や住宅関連商品の販売が苦戦したことを不調の要因としているようだが、そもそもこれらの商品をスーパーに買いにいく消費者ってどのくらいいるのだろう?
そういえば、自分にも下着や靴下を別にすればスーパーで衣服を買った記憶がほとんどないなぁ。下着や靴下だって、別の用件で買い物に行った時に思い出してついでに買うくらいだから、スーパーで売っている下着や靴下を目当てに買い物に行くわけではないし。
今となっては、どちらの商材も総合スーパーがターゲットとする商材からは外れてしまっているように思うのだが…。

大手スーパーが軒並み苦戦している中、産業再生機構による再建スポンサー選定中のダイエーは、ちゃんと復活できるのだろうか?
イトーヨーカ堂やイオンの傘下に入って再建を目指すのかと思いきや、産業再生機構の関与が想像以上に強く、第二次選考でイトーヨーカ堂は脱落してしまった。イオンは辛うじて最終選考に残っているが、こちらもどこまでやる気かよく分からない。確かにダイエーを手に入れればイトーヨーカ堂を突き放すことができるが、ダイエーを抱え込んで共倒れしては意味が無いし、産業再生機構の再建案の執行担当みたいな役回りでは、どこまでシナジー効果を挙げられるか不透明。最終選考で脱落(撤退)するのかな、と思う。

文藝春秋3月号によれば、産業再生機構では、小売部門の人気アナリストだった松岡真宏氏がダイエーの若手役員と組んで、新しい業態の小売業を作ることを目指しているそうな。意気込みは見上げたものだが、同じ記事では「餅は餅屋に任せるべきで、国民の税金を使って、自分の理論の実験場にするのは、いかがなものか」というメガバンクトップのコメントが紹介されている。

そういえばその金融業界には、著名な金融コンサルタントが設立に深く関与した銀行があった。この銀行も既存業界のビジネスモデルを否定して、華々しく出来上がった割には苦戦が続いている。産業再生機構ダイエーが同じ道をたどらないといいが、「あの」銀行と同じようなニオイがするんだよなぁ。

「あの」銀行は、中小企業の資金需要が回復しつつある状況であれだけ苦戦しているわけだから、総合スーパーが軒並み減益に悩む小売業界ではどうなることやら。

[関連投稿]
ダイエー再生のスポンサー探し(2005年1月21日)